
物語
『序章~雲の上の丘~』
雲の上にある、丘の話を知っていますか?
そこにはひんやりとした、でも寒くはない不思議な風が吹いています。
丘には朝になると咲き、夜になると枯れる花があり、その花には名前はなく、命が生まれる前の姿だと言われています。
そして、花はいつの日か地上に降りて一つの命として生まれるのを静かに夢見ています。
また、この丘には「詩季夜(しきよ)のものたち」という存在もいます。
5人の詩季夜のものたちは、それぞれに得意な楽器を持ち、丘にある野外劇場で音楽を奏でます。
そうして彼らは、音楽を奏でながら、生まれる前の命の花を見守っているのです。
ハープの奏者【メア】は、穏やかで繊細、透明な音色。
フルートの奏者【ソレイユ】は、活発でどこまでも澄んだ高い音色。
コントラバスの奏者【バルド】は、低くて安心感のある、包み込むような音色。
オーボエの奏者【ルカ】は、引っ込み思案で少し影のある音色。
ヴァイオリンの奏者【セバスティアン】は、気取っているけれど優雅な音色。
その場所を訪れるのは、地上での命を終えて空に昇り、次の命へと向かうために「銀色の川」へと向かう旅人たち。
美しい花々に目を奪われ、立ち止まった魂たちを詩季夜のものたちは演奏で歓迎します。
そこは心が落ち着き、一息ついて旅の疲れを癒す場所。
そして魂はまた、次の旅へと。
空の丘の演奏が、あなたにも届きますように…。